6時間のルート記録でも バッテリーを残して下山する 方法
GPSが電池を消費する本当の理由、記録間隔で何が変わるのか、画面オフで確実に言えることは何か。登山中のスマホのバッテリー対策。

受信するだけのGPSが、なぜ電池を消費するのか
GNSS受信機は、誰にも何も問い合わせません。受信するだけです。衛星が電波を送り、スマホがそれを受けて計算します。送信するデータがないので、電波の届かない山奥でも機能します。
では何が電力を消費するのかというと、受信機を起こし続けておくことです。受信機の無線部を動かし続け、相関器がノイズの中からごく弱い信号を探し、測位のたびにプロセッサが目を覚まして位置を計算し、保存し、ルートに追加していく。最近のスマホなら、これはわずかな電力でこなせます。
問題は、GPSが単独で動いていることはほとんどないという点です。画面は点いたまま地図を表示し、その地図はモバイルデータでタイルをダウンロードし、谷間で基地局が見つからないスマホの無線部は送信出力を上げています。この3つを合わせると受信機よりはるかに多くの電力を消費しますが、どれもオフにできるものです。
数字でひとこと
地図をダウンロード済みで画面をオフにしていれば、記録に使う電池はわずかです。本当に電池を減らすのは、明るさを上げた画面(GPS受信機のおよそ10倍を消費します)と、電波を探し続ける無線部です。ネットに出回っている数字の多くは、10年前のスマホのものです。ある日の午後に自分のスマホで測って、その数字を覚えておいてください。役に立つのは、その数字だけです。
記録間隔こそが根本的な選択
ルートを記録するとは、一定の間隔で位置を保存していくことです。どのくらいの間隔にするかは選択の問題で、正解はありません。バッテリーと精度のトレードオフなのです。
落とし穴は、右側の2つ目の項目にあります。間隔が長いと、ルートが各カーブの内側で切り詰められてしまうのです。曲がりくねった山道では実際の距離のかなりの割合が失われることがあり、さらに標高グラフがならされて、実態とかけ離れたものになります。電池を節約した代わりに、質の落ちたデータを永遠に抱えることになるのです。記録されなかった点は、二度と取り戻せないからです。
だから、本当に効く節約はここにはありません。画面にあります。
画面オフで実際に起きていること
高輝度で点灯した画面(直射日光の下で地図を見るのに必要な明るさです)は、GNSS受信機のおよそ10倍の電力を消費します。画面を消すことは、群を抜いて効果の大きい対策です。
そしてここに、多くの人がスマホを手に持ったまま6時間歩いてしまう原因となる誤解があります。画面オフは、アプリを閉じることではありません。きちんと作られた記録アプリは、スマホをロックしてポケットにしまっても記録を続けます。あなたが画面を見ているかどうかには左右されないからです。
それを支えているのがフォアグラウンドサービスです。常駐通知を表示している間はOSが終了させないと約束しているプロセスのことです。スワイプしても消せないあの通知は、設計上の手抜きではありません。文字どおり、記録を生かし続けているものなのです。通知なしで記録するアプリは、画面をロックした途端にシステムに眠らされ、穴だらけのトラックが残ることになります。
知っておきたいことが、あと2つあります。どちらも、誰のスマホでも確かめられます。
バッテリーの最適化が、記録を止めてしまうことがあります。メーカーによっては、バックグラウンドのプロセスを特に積極的に終了させます。スマホをしまったタイミングでトラックが途切れていたら、バッテリー設定でアプリを探し、「制限なし」に設定してください。途切れたトラックの10件中9件は、これで解決します。
機内モードにしても、GPSは止まりません。受信機は受信するだけなので、スマホの無線通信をオフにしても動き続けます。これで、存在しない基地局を探してモデムが出力を上げるという、残りのなかで最大の消費を一気に断てます。難点は、ネットワークがないと最初の測位に時間がかかることです。衛星が今どこにあるかを教える補助データを、スマホがダウンロードできないからです。対策は、出発前に電波のある場所で最初の測位を済ませ、そのあとで機内モードにすることです。
寒さは、問題のもう半分
リチウム電池は、寒さで電気が減るのではありません。電気を取り出す能力が落ちるのです。氷点下では、残量40%と表示されていたスマホの電源が突然落ちることがあり、ポケットで温めると、落ちる前と同じくらいの残量で再び起動します。どちらの表示も、嘘をついていたわけではありません。
そこから3つの習慣が生まれます。スマホはザックの雨蓋ではなく、体に密着する内ポケットに入れること。モバイルバッテリーはザックの外にぶら下げず、中に入れること。そしてスマホが冷え切っていたら、充電する前に常温に戻すことです。ひどく冷えたリチウム電池を充電すると、確実に劣化します。
Suviardではどうしているか
Suviardは1秒に1点、距離フィルターなしで記録します。立ち止まっているときも含めて、届いた測位データをすべて記録するのです。電池の面では高くつく、あえての選択で、理由は2つあります。ひとつは、細部はあとから取り戻せないこと。もうひとつはあまり知られていませんが、もしアプリが記録の段階で点を間引いていたら、「2分間何も受信していない」は「止まっている」の意味にも「GPSが固まった」の意味にもなりえ、この2つはまったく別物だということです。フィルターがなければ、沈黙は常に不具合を意味するので、アプリは直線を記録し続けるのではなく、対処することができます。
記録は位置情報タイプのフォアグラウンドサービスで動作し、常駐通知には一時停止と終了のボタンが付いています。だから、スマホをロックしてしまっておいても大丈夫です。Androidから見れば、画面が真っ暗でも、記録はフォアグラウンドのままなのです。
もうひとつ、権限の画面でわかることがあります。アプリは、バックグラウンドでの位置情報へのアクセスを求めません。記録はいつも、あなたが画面を見ている状態で始まるので、その必要がないのです。リストの権限がひとつ減り、説明すべきこともひとつ減ります。
私たちにできないのは、地図を見ることで減る電池を節約することです。それはあなた次第であり、まさにそれを解決するのが、次の5つのルールです。
バッテリーを残して下山するための実践
- 01出発前に、エリアの地図をダウンロードする。歩きながら読み込む地図は、データ通信、無線、画面を同時に使います。これ以上ないほど高くつく組み合わせです。
- 02電波のある場所で最初の測位を済ませる。歩き始める前に、駐車場で。そのあとは、通信を切ってかまいません。
- 03アプリではなく、画面を消す。記録中の通知が表示されていることを確認してから、スマホをしまいましょう。20分ごとに地図を見ても何の問題もありませんが、6時間点けっぱなしにすると話は別です。
- 04電話を待っていないなら、機内モードに。GPSは記録を続けます。連絡がつく状態にしておきたいなら、せめて圏外のエリアではモバイルデータをオフにしましょう。
- 05冬は、スマホを体に密着させる。そしてザックには小型のモバイルバッテリーを。重さは100 gで、トラックが丸ごと残るか、半分しか残らないかの分かれ目になります。
まとめ
GPSは敵ではありません。受信して計算するだけで、消費電力はわずかです。高くつくのは、そこに私たちが上乗せしているもの、つまり画面、読み込み中の地図、基地局を探す無線です。そして、その高くつく部分は、出発前の2つの操作でオフにできます。
電池を節約するために記録間隔を長くするのは、典型的な割に合わない取引です。取り戻せる電池はわずかなのに、ルートの細部は永遠に失われます。もっと長く持たせたいなら、画面を消して地図をダウンロードしましょう。そのつけを、トラックに払わせる必要はありません。
そして、そのルートの標高差を見返すときは、GPSは最も苦手な軸で高さを測っていることを覚えておいてください。データの扱い方について詳しくは、Suviardについてをご覧ください。