登山道のペンキマーク が伝えていること:スペインのGR・PR・SL
白と赤、白と黄、白と緑。スペインの登山道標識GRとPRの違い、×印の意味、そしてそれを誰が認定しているのかを解説します。

3種類の登山道とその色
岩に描かれたあの2本の線は、飾りでも地元の思いつきでもありません。標準化されたシステムであり、下の線の色を見れば、自分がどの種類の登山道を歩いているのかがわかります。
| 登山道 | 色 | 距離 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| GR・Gran Recorrido(長距離) | 白と赤 | 50 km超 | 地方や州、さらには国どうしを結ぶ。数日かけて区間ごとに歩く |
| PR・Pequeño Recorrido(短距離) | 白と黄 | 10〜50 km | ひとつの谷、山頂、山小屋をめざす。週末の典型的な日帰りコース |
| SL・Sendero Local(地域の散策路) | 白と緑 | 10 km未満 | 村や景勝地のまわりを巡る、標識の整った散策路 |
3種類とも、白い線が必ず上で、色のついた線がその下です。GR 11.1のように小数点付きの番号を見かけたら、それは本線のバリエーション、つまり認定を受けた別ルートの区間であって、ペンキの書き間違いではありません。
そして、ヒヤリとする場面を減らすための注意をひとつ。認定済みだからといって簡単とは限りません。認定とは、共通の基準で標識が設置され、維持管理されているという意味であり、歩きやすいという意味ではないのです。標高2,500 mの鞍部を越えるGRもあれば、手を使う区間があるPRもあります。
数字でひとこと
覚えるべきマークは3つだけ。なかでもいちばん誤解されやすいのが×印で、2つの長方形をX字に交差させたものです。これは方向を示すのではなく、「この道ではない」という意味です。分岐や注意喚起のサインだと思い込んで、そのまま進んでしまう人が少なくありません。×印を見たら引き返し、最後に見た「直進」のマークを探すのが正解です。
直進、方向転換、×印
直進
正しい道平行な2本の長方形が上下に並んだもので、上が白、下が登山道の色、長さは9〜15 cmです。意味はずばり「この道を進め」。いちばんよく目にするマークで、数分おきに探すべきものです。しばらく見かけていないなら、何かが起きています。
方向転換
曲がる同じ2本の線が角度をつけ、折れ曲がった矢印のような形になっています。外側の線が白です。登山道が今歩いている道を離れて曲がることを知らせるもので、たいていは折れ曲がりの角が向いている側に曲がります。曲がり角そのものではなく、曲がる直前に描かれていることがほとんどです。
誤った方向
この道ではない×印で、対角線の一方が白、もう一方が登山道の色です。正しい道から分かれていて、つい間違えて入ってしまいがちな道に描かれます。危険の警告でも分岐の印でもありません。その脇道は登山道ではないと教えてくれるマークです。
この3つで、ほぼすべてが解決します。ほかに縦型の標識、たとえば登山口の案内板や所要時間入りの木製の矢印標識もありますが、こちらは地域によって大きく異なります。3種類のペンキマークは、どこでも共通です。
登山道を認定するのは誰か
GR®、PR®、SL®はFEDMEの登録商標で、2002年からスペイン特許商標庁に登録されています。FEDMEとはスペイン山岳スポーツ・クライミング連盟(Federación Española de Deportes de Montaña y Escalada)のことで、各地域での管理はそれぞれの自治州の山岳連盟に委ねられています。
このことには、多くの人が驚く実際的な意味があります。自分の山だからといって、好きなように白と赤の2本線を描くことは誰にもできません。登山道の認定は管轄の連盟が定める手順に沿って行われ、連盟はルート、通行許可、標識、そして何より手間のかかる「維持管理の約束」を審査します。どのマークの背後にも、責任を負う団体と、ペンキを塗り直すボランティアがいるのです。
ほかの色のマークや石積みのケルン、枝に結ばれたビニールテープを見かけたら、それは別物です。地域独自のルートかもしれないし、レースのコース表示や、誰かの個人的な判断かもしれません。きちんと整備されている場合もありますが、来年もそこにある保証はどこにもありません。
正確なサイズや標識の種類を含む公式の解説は、FEDMEの登山道マニュアルに掲載されています。一度は目を通しておく価値があります。
マークが見つからなくなったら
これはしょっちゅう起きることで、たいていはあなたのせいではありません。夏には草木が岩を覆い、雪が道標を隠し、伐採でペンキの付いた木がなくなり、あるいは標識が、あなたとは逆の進行方向を想定して付けられていることもあります。マークは一方の進行方向に向けて描かれるので、逆から歩くと半分ほどしか目に入らないのです。
ルールはひとつだけで、例外はありません。最後に見たマークまで戻ることです。「もう少し進めば出てくるかも」と進み続けてはいけません。そうやって、藪の中で道を探すうちに午後が終わってしまうのです。最後に確認したマークの位置から、落ち着いて周りを見渡してください。正しい場所に立てば、次のマークはほぼ必ず見えます。
そして、これを問題にしないための3つの習慣があります。GPSトラックをダウンロードしておくこと(タブで開いておくのではなく、ダウンロードです)、近道を即興で決める前に時刻を確認すること、そしてマークだけにも、スマホだけにも頼りきらないこと。どちらも失敗することはありますが、両方が同時に失敗することはめったにありません。
Suviardではどうしているか
何もしていません。それは意図してのことです。標識は私たちのものではありません。連盟とボランティアが維持している公共のシステムであり、それを複製したり、上に別のレイヤーを重ねたりするつもりはまったくありません。
アプリが担うのは、それを補う部分です。マークが見当たらないときのために、ダウンロード済みのルートのGPSトラックを持ち歩けるようにすること。トラックは標識の代わりにはなりません。その脇道が私有地であることも、橋が増水で流されたことも知らないからです。それでも、雪で地面が見えなくなったときに、自分がまだルート上にいるかどうかは教えてくれます。
そして、正直に言えば、両者は表裏一体の関係にあります。スマホの電池が切れてもマークはそこにあり、マークが雪に埋もれてもトラックはそこにある。だから両方を持っていくのです。電池切れを防ぐには、6時間のルートを記録してもバッテリーを残して下山する方法をご覧ください。
まとめ
白と赤は50 km超、白と黄は10〜50 km、白と緑は10 km未満。平行な2本線は直進、角度のついた線は方向転換、×印は引き返せ。これに、数分おきに次のマークを探す習慣を加えれば、スペインの登山道の多くを歩くことができます。
このシステムが機能しているのは、毎シーズン無償で線を塗り直してくれる人たちがいるからです。マークを読めるようになることは、役に立つだけでなく、その仕組みに敬意を払ういちばん手軽な方法でもあります。
データの扱い方について詳しくは、Suviardについてをご覧ください。